2008 Fiscal Year Annual Research Report
「ペプチドタグ-小分子プローブ」ペアを利用したタンパク質共有結合ラベル化法の開発
Project/Area Number |
08J07444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤島 祥平 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イメージング / 蛍光 / ペプチドタグ / 亜鉛錯体 / 金属-配位子間相互作用 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
短鎖のペプチドタグと小分子プローブとの相互作用により誘起される「タグープローブ」ペア間の求核置換反応によって、標的のタンパク質を不可逆的に共有結合ラベル化する手法の開発を行ってきた。その開発過程で筆者は種々のプローブ分子を合成し、それらと相互作用するペプチドの配列依存性を検討してきた結果、フェノールの両オルト位にイミノジ酢酸を配した二核の亜鉛錯体Zn(II)TCaがヒスチジン連続配列(=His-tag)と相互作用することを新たに見出した。His-tagはニトリロ三酢酸ニッケル錯体(=Ni(II)-NTA)と金属-配位子間相互作用により選択的に結合し、近年では蛍光色素を修飾したNi(II)-NTAで生細胞の特定タンパク質を標識して、その動態を直接観測する蛍光イメージング技術が数多く報告されている。一方、それらの報告に共通して見られる問題点として、ニッケルイオンが色素を強く消光してしまい、イメージングの感度を大幅に低下させてしまう点が挙げられる。従って、色素の消光をほとんど示さないことが知られている亜鉛イオンを錯形成させたZn(II)TCaによって、His-tag導入タンパク質を高感度に蛍光可視化する手法の開発は非常に有意義であると判断して当研究を遂行することにした。 蛍光色素Cy5へZn(II)TCa、Ni(II)NTAをそれぞれ2分子ずつ導入した2種類の蛍光プローブCy5-bisZn(II)TCa,Cy5-bisNi(II)NTAを合成した。双方のプローブの蛍光量子収率を比較したところ、Zn(II)TCa型はNi(II)NTA型よりも5倍高い値を有することが示された。この亜鉛錯体を用いて、生細胞表層での蛍光イメージングを試みた。具体的には、His10とEGFPを融合した細胞膜受容体B2Rを一過的に発現させたHEK293細胞のCy5-bisZn(II)TCaによる染色を試みた。その結果、EGFPとプローブの蛍光局在が非常によい一致を示したことから、このプローブはHis10融合B2Rを蛍光標識可能であることが示された。
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Research Products
(3 results)