2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ生殖細胞特異的小分子RNA「piRNA」の生合成経路の解明
Project/Area Number |
08J07447
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西田 知訓 The University of Tokushima, 大学院・医科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Aubergine / AGO3 / dPRMT5 / sDMA / Tudor / piRNA / Drosophila / germline |
Research Abstract |
小分子RNAを介した遺伝子発現抑制機構では、Argonauteタンパク質が中核因子となって機能する。ショウジョウバエには5種類のArgonauteタンパク質が存在する。その内、Aubergine(Aub)、AGO3、Piwiは生殖細胞特異的に発現し、piRNAとの結合を介してレトロトランスポゾン遺伝子の発現抑制をすることが明らかになってきた。piRNA生合成において、Aub、AGO3そしてPiwiが持つendonuclease活性が関与することが示唆されたが、この経路の詳細は明らかにされていない。最近、Aub、AGO3及びPiwiが、dPRMT5によりアルギニンの対称的ジメチル化修飾(sDMA)を受けることが判明した。UsnRNP構成因子であるSmタンパク質は、sDMA依存的にTUDOR(TUD)ドメインを持つSMNと複合体を形成する。その複合体にUsnRNAが取り込まれUsnRNP形成が促進する。このことから、TUDドメインを持つ因子がpiRNA生合成経路においても機能するのでは無いかと考えられた。Aub及びAGO3がsDMA依存的に11個のTUDドメインを持つTudor(Tud)と結合し、三者複合体を形成しうることを明らかにした。この三者複合体には、レトロトランスポゾン由来のpiRNA前駆体が含まれていた。tud欠失変異体においてAubとAGO3に結合しているpiRNAの全体量は、野生型と比較して増加していた。それらのpiRNAを次世代シーケンサーによって解析したところ、tud欠失変異体ではレトロトランスポゾン由来のpiRNAの内分けが変化していた。続いて、dprmt5欠失変異体においてAubと結合するpiRNA量が減少することを明らかにした。これらの結果は、ショウジョウバエ生殖細胞系においてAub及びAGO3と結合するpiRNAは、dPRMT5によるsDMAとsDMA依存的なTudとの結合により品質の制御が行われている事を強く示唆する。
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Research Products
(3 results)