2008 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース系バイオマスの酵素糖化を目指したβ-グルコシダーゼの高機能化
Project/Area Number |
08J07454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚田 剛士 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | β-グルコシダーゼ / セルロース / セロビオース / 酵素糖化 / バイオマス |
Research Abstract |
近年、地球温暖化や化石資源枯渇等の影響を受け、再生可能な資源である植物バイオマスからエタノールや有機酸等の有用物質を生産する事が望まれている。植物バイオマスの主成分であるセルロースから酵素を利用してグルコースを得るには、セルラーゼによりセルロースをセロビオースなどの可溶性糖へ変換した後、それらに対してβ-グルコシダーゼ(BGL)を作用させグルコースへ変換する必要がある。そのため植物バイオマスの酵素糖化においては、高温、酸性条件下においてセロビオースに対して高い反応特性を示すBGLが求められている。しかしながら、それらの性質を併せ持つBGLはこれまでに報告されていない。そこで本研究では、BGLの「酸性域において高い活性を保持するために必要な因子」、「セロビオースに対する親和性を高める因子」、を解明する事を目的として研究を進め、最終的には温度安定性に優れる高熱菌由来BGLに点変異導入により上記した2つの性質を付与する事で、「セルロース系バイオマスの酵素糖化を目指したβ-グルコシダーゼの高機能化」を目指した。 「酸性域において高い活性を保持するために必要な因子」、を明らかにするため、酸性域における活性保持率が異なる担子菌Phanerochaete chrysosporium由来BGL1A、BGL1Bを対象とし、変異酵素の機能解析をおこなった。その結果、BGL1Aが酸性域においても高い活性を保持するためには、活性中心付近のアミノ酸残基が関与していない可能性が高い事、そしてBGL1AはユニークなpH依存性調節機構を有している事を明らかにした。「セロビオースに対する親和性を高める因子」、を明らかにするため、セロビオースに対する反応特性が異なる担子菌Phanerochaete chrysosporium由来BGL1A、BGL1Bを対象とし、変異酵素の機能解析をおこなった。その結果、BGL1Bがセロビオースに対して高い親和性を示すためには、セロビオースの還元末端側メチロール基と相互作用を形成するアミノ酸残基の機能に注目することが重要である事を明らかにした。
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Research Products
(4 results)