2008 Fiscal Year Annual Research Report
大気汚染抑制政策の定量的政策評価:NOx・PM法並びにDPF規制を事例として
Project/Area Number |
08J07504
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岩田 和之 Sophia University, 経済学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大気汚染 / 政策評価 / 費用便益分析 / 自動車排気ガス対策 |
Research Abstract |
日本で実施されている政策評価の多くは定性的なものが主であり、定量的に行われているものは数少ない。そこで、本研究では、日本の大都市圏で実施されている自動車排気ガス規制(車種規制・運行規制)を事例に、定量的な政策評価の重要性を示すことを目的としている。 定量的政策評価が実施されることなく両規制は施行された。つまり、両規制は真に社会にとって望ましい施策であったかどうかの妥当性が確認されることなく実施されたのである。そこで、費用便益分析を用い、それぞれの規制の妥当性を検証した。試算の結果、両規制ともに純便益がプラスとなり、妥当な施策であることが示された。ただし、効率性の視点からは、両規制には問題があることが明らかとなった。規制内容を変えることで、両規制には、より純便益を改善できた余地が存在したのである。 規制の施行に先立ち、詳細な定量的政策評価を実施したのであれば、こうした非効率性は回避することができたと考えられる。したがって、今後の施策立案の際には、妥当性のみならず、効率性を示すことも重要となる。 また、両規制に対して、事後的な政策評価も未だに実施されていないため、両規制が期待通りの環境改善をもたらしたかどうかが明らかとなっていない。そこで、本研究で事後的な定量的政策評価を実施した。分析の結果、両規制ともに、大気環境の改善に寄与していることが確認された。
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Research Products
(5 results)