2009 Fiscal Year Annual Research Report
確率過程量子化に見る現代物理学における時間概念のコペルニクス的転回
Project/Area Number |
08J07510
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高村 友也 Keio University, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子力学の解釈 / 科学哲学 / 確率の哲学 / 時間論 |
Research Abstract |
以下はいずれも、量子論的な運動が道筋概念の保証された確率過程によって表現されるか否かという観点に則っての考察である。 1.傾向性の概念と伝統的量子力学との関係、および確率力学との積極的な関係についての考察。(「現代量子力学からみたPopperの傾向性解釈」,『イギリス哲学研究』,第33集,2010.を参照のこと。) 2.古典的確率による熱力学的時間と量子的確率のもたらす時間との差異を明確にするための熱力学的時間に関する総レビュー、および、量子的確率運動と古典的確率運動が、非平衡状態と時間対称的遷移確率が両立可能か否かという点において異なることに注目し、比較。(「微視的法則と巨視的現象の時間的な非対称性と不可逆性について」,『哲学』第124集,2010.を参照のこと。) 3.客観的確率と多世界概念との差異を明確にするための多世界解釈と量子的確率法則との関係の総レビュー、および、先行研究に関する幾つかの概念的および数学的誤りを指摘。 ("Many Worlds Interpretation and Born's Probability Rule"(近刊予定)を参照のこと。) 4.マルコフ過程と熱力学的時間の関係から、科学法則の説明方式の逆転の可能性(ミクロからマクロへではなく、マクロからミクロへ)を考察。 5.時間の矢に関するプライスの中心的結論「解明すべきなのは法則の非対称性ではなく過去の低エントロピー性である」に関する論点先取について考察。 6.確率過程量子化の概念的基礎に関する離散的量子ウォークからのアプローチ。特に量子ウォークにおいて道筋の概念が保証されているか否かについて考察。(これに関しては否定的な結果しか得られていない。)
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Research Products
(2 results)