2009 Fiscal Year Annual Research Report
インド洋津波に起因したスリランカにおける再定住事業の実態と住民の環境適応条件
Project/Area Number |
08J07522
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 昌弘 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 津波災害 / 住宅移転 / 環境移行 / 再定住 / ソーシャル・キャピタル / 地縁・血縁 / マイクロクレジット / スリランカ |
Research Abstract |
前年度(平成20年度)は、インド洋津波に起因したスリランカにおける再定住事業の全体像を把握するために、政府・統計資料を用いて事業制度の分析、再定住地の建設動向と計画内容の分析、被災地から再定住地への人口移動の分析を行った。また、分析を踏まえ、再定住事業の影響が特に大きいと予想されるスリランカ南部・ウェリガマ郡の津波被災集落と再定住地を対象として、居住者の再定住プロセスと行政・NGOの再定住支援に関する実地調査を実施した。本年度は主に調査結果の分析を行い、再定住事業における環境移行にともなう居住者の環境適応の困難化の実態を指摘するとともに、従前居住地コミュニティ内のソーシャル・キャピタルの蓄積が環境移行の影響を緩和し住民環境適応を促進する可能性を指摘した。本研究は、再定住地の実態を踏まえ、従前居住地コミュニティ内のソーシャル・キャピタルを、世帯間関係(地縁関係、血縁関係、マイクロクレジットの関係)および住宅敷地の所有・利用関係という具体的な関係に着目して把握している。そして、それら関係の再編プロセスの分析を通じて、再定住地に環境適応している住民は従前居住地コミュニティとの関係性を何らかの形で維持していること、従前居住地との関係性は地縁・血縁だけでなくマイクロクレジットのような地縁・血縁によらない関係によっても維持されていることを明らかにした。自然災害に起因した再定住事業は一般的に、「住宅再建」と「住宅移転」の二者択一に陥りがちである。また、居住地の範囲で完結した計画が行われ、再定住地と従前居住地の関係性が無視されがちである。しかし、上記した調査結果は、「住宅再建」と「住宅移転」の二者択一の限界を改めて指摘するとともに、従前居住地と再定住地を補完的に捉えて住宅移転および再定住地を計画することの有効性を指摘しており、自然災害に起因した再定住事業の計画論に関する有意義な研究成果になり得ると考えられる。
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Research Products
(6 results)