2008 Fiscal Year Annual Research Report
余剰次元模型による宇宙論的問題の解決とこの模型の加速器実験における検証可能性提示
Project/Area Number |
08J07555
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山中 真人 The University of Tokyo, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 余剰次元理論 / LHC実験 |
Research Abstract |
近い将来、新たな粒子の探索を1つの目的として大型加速器実験(LHC実験)が稼動する。この実験において、様々な模型の様々な新粒子の発見が予測されている。余剰次元模型における第1KK粒子と呼ばれる新粒子も発見が期待されているものの1つであるが、その発見には困難が伴う。それは、LHC実験における第1KK粒子の兆候が、他の模型において現れる新粒子のLHC実験における兆候と非常に似ているため、これらの判別をいかに行なうかである。 この判別を可能にするのが、素粒子標準模型のフォトンとZボソンの第2KK粒子である。これらは、その質量は第1KK粒子の質量のおよそ二倍であり、かつ、その質量が精度良く測定され得るという特徴を持つ。他の模型に、これらの特徴を併せ持つ新粒子は存在しない。つまり、LHC実験においてフォトンとZボソンの第2KK粒子を確認できれば、実験で生成された新粒子は確かに余剰次元模型が予言するものであるということができる。 申請者達は、フォトンとZボソンの第2KK粒子のLHC実験における生成率を精度良く計算した。その結果、LHC実験開始からおよそ3年という期間内に、様々な研究から予測されているこの模型のパラメーター領域の範囲において、これらはおよそ100個から1000000個生成されるという結論を得た。この研究成果を基にLHC実験の解析を進めることで、余剰次元模型の確立を手際よく進めることができると期待される。
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