2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上坂 正晃 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 逆問題 / 偏微分方程式 |
Research Abstract |
本年度は、逆問題とCarleman評価に関して研究を行い、新たに以下の2つの結果を得た。(1)線型化されたphase field modelに対する1成分のみの観測からの係数決定 phase field modelは、相転移を伴う現象を取り扱うモデルであり、温度と秩序パラメータ(状態関数)の2つの未知関数からなる偏微分方程式のシステムである。私は線型化されたphase field modelに対して、考えている領域の部分領域において、温度のみの観測から、熱伝導係数、そして易動度を決定する逆問題を考察した。通常、温度は秩序パラメータと比較して極めて観測が容易であるため、この逆問題は実用上も重要であると考えられる。私は、Carleman評価を用いることで、逆問題の安定性評価を示した。 (2)構造化個体群動態モデルに対する係数決定逆問題 個体群動態モデル(人口モデル)の中でも、人口(密度)が時間のみならず、空間位置、年齢、個体サイズなどに依存するようなモデルを、構造化個体群動態モデル(structured population model)という。このようなモデルは、20世紀前半から盛んに研究され、順問題に関しては様々な結果が上がっている。しかしながら、例えば死亡率や拡散係数などのパラメータを決定する逆問題については、先行研究は極めて少ない。私は、構造化個体群動態モデルに対するCarleman評価を確立するとともに、係数決定逆問題の安定性評価を証明した。 また、本年度は2回の成果発表を、4月に中国・武漢にて、6月に京都大学にて行った。
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Research Products
(2 results)