2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代インド社会におけるいのちの医療化と生命倫理の多元性に関する人類学的研究
Project/Area Number |
08J07594
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 瑞穂 Kyoto University, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 文化人類学 / インド / ジェンダー / リプロダクション / 生殖医療技術 / サファリング / 生命倫理 / 医療化 |
Research Abstract |
研究プロジェクトの初年度にあたる20年度は、生殖医療に関する基礎的な文献の収集・分析および、インドにおける現地調査の実施を行った。1]現地調査で得られた成果:マハーラーシュトラ州プネー県およびグジャラート州アナンド県で行われた調査では、医療機関での調査、不妊症患者への聞き取り調査に加えて、代理母やその家族など代理懐胎に関わる様々な人々への調査を実施することができた。また、マハーラーシュトラ州ムンバイの図書資料館にて、植民地期の女性を対象とした近代医療、および20世紀初頭のインドにおける新マルサス主義、優生学に関する文献収集調査を敢行した。特にR.D.Karveがマラーティー語で刊行した月刊誌を集中的に収集、分析し、植民地期においてセクシュアリティや生殖がいかに議論されていたのかについての知見を得た。2]論文発表に関する成果:このような調査で得られたデータおよび、文献資料を分析した研究論文は、『アジア遊学』第119号、および『Kyoto Working Paper』no.29に掲載された。また、公開シンポジウム「人類学的リスク研究の探究」(於:京都大学)を企画・運営および研究発表を行い、その成果は『平成20年度リスク研究会活動報告書』としてまとめられている。学会発表としては、スウェーデン・ストックホルム大学ジェンダー研究所主催の国際会議Feminist Research Method(2月)、第41回日本文化人類学会研究大会(於:京都大学、6月)、第21回日本南アジア学会研究大会(於:東洋大学、10月)にてそれぞれ研究発表を行い、研究成果の還元に努めた。以上のように、初年度は現地調査と文献研究を組み合わせながら、国際会議にて研究発表をするという研究計画の初期目標を達成することができた。
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Research Products
(5 results)