2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07597
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鶴見 哲也 Yokohama National University, 大学院・国際社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際貿易 / 経済成長 / 規模効果 / 技術効果 / 構造効果 / 環境 / 環境規制 / 環境協定 |
Research Abstract |
国際貿易が環境に与える影響は理論・実証の両面から研究の蓄積がなされているが、理論的枠組みに裏付けられた実証研究はAntweiler et al.(2001,AER)やCole and Elliott(2003,JEEM)程度である。これらの研究では、貿易が環境に与える影響を規模(経済規模)・技術(環境保護に対する需要)・構造(産業構造)効果に分離した上で推計を行っているが、貿易が所得を変化させる影響を考慮していないため正味の全効果が明らかにされていない。また、所得変数、貿易変数の内生性の問題も考慮されていない。そこで、貿易が所得に及ぼす影響を推計し、操作変数を作成することで内生性の考慮を行ったうえで、SO_2、CO_2、BODについて全効果を明らかにした。また、その効果の長期的影響についても議論を行った。その結果、高所得の国ほど貿易が環境に良い影響を与えている傾向を持つこと見出された。また、同分析において、ヘルシンキ議定書、オスロ議定書等の環境協定が環境負荷低減にどれはどの効果を持っているのかについても検証を行った。その結果、SO2については汚染削減の効果が見られたが、他の物質においては効果を見出すことができなかった。 環境規制が貿易に与える影響を明らかにすることは環境保護と国際競争力との両立を考える際に重要となる。しかし、先行研究では一貫した結果が得られていない。そこで、二国間貿易のデータを用い、環境規制変数の内生性の考慮を行ったうえで、グラビティモデルの枠組みに3種類の環境規制変数を導入し、環境規制の強さが貿易のフローに与える影響を検証した。その結果、環境規制は短期的には貿易に悪い影響を及ぼすものの、長期的には貿易量を増大させることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)