2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07597
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鶴見 哲也 Yokohama National University, 国際社会科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 規模効果 / 構造効果 / 技術効果 / 国際貿易 / 環境規制 / 貿易自由化 / グラビティモデル / 環境クズネッツ曲線仮説 |
Research Abstract |
Antweiler et al.(2001)は理論モデルを構築し、貿易が環境に及ぼす影響を規模効果、構造効果そして技術効果の3つに分類し、これらの影響を足し合わせる方法を示し、実際にデータを用いて分析を行った。しかし、彼らの研究の実証分析においてはGDPおよび貿易自由化変数の内生性が考慮されていない。また、このことから、貿易自由化がGDPの増加を通して排出量に及ぼす間接的な影響(貿易誘発的な規模・技術効果)が明らかにされておらず、貿易誘発的な構造効果とあわせた総合的な効果の大きさが定量的に明らかになっていない。そこで、GDPおよび貿易依存度の内生性を考慮し、実証分析を行った。その結果、貿易が環境に及ぼす影響は物質ごとにそして国ごとに異なることが示唆された。また、環境規制が国際貿易に与える影響を明らかにすることは環境保護と国際競争力との両立を考える際に重要となる。しかし、先行研究では環境規制が国際競争力に好影響を与えるという研究と悪影響を与えるという研究が混在しており、一貫した結果が得られていない。そこで、先行研究で用いられている環境規制の代理変数3種類(汚染削減費用、energy intensity、サーベイ指標)を対象に、二国間貿易のデータを用い、環境規制変数の同時性の考慮を行ったうえで、貿易研究で用いられるグラビティモデルの枠組みで環境規制の強さが貿易のフローに与える影響を検証した。その結果、環境規制は短期的には輸出量を減らす可能性があるものの、長期的には輸出量を増大させる可能性を有していることが示唆された。具体的には他国より先に規制を厳しくする、規制を長期にわたって施行し続けている、幅広い業種に規制が及んでいることなどが貿易量を増大させることが示唆された。また、貿易品目別に行った分析でも同様の傾向が見出されている。
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Research Products
(7 results)