2008 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニック結晶における非線形増大と全光制御型デバイス
Project/Area Number |
08J07620
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 恵治郎 Yokohama National University, 大学院・工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトニック結晶 / 非線形光学 / 非線形光学材料 / 全光デバイス / スローライト |
Research Abstract |
次世代の光通信ネットフークにおいては光のまま情報を処理する必要があり,その実現のために様々な全光デバイスが研究されている.その中で非線形光学効果を原理としたものは超高速応答が可能なため有力な候補となっている.本研究では,光非線形性の大きいカルコゲナイドガラスと,フォトニック結晶のスローライトを組み合わせることにより,集積が可能なサイズで高効率な全光デバイスを実現することを目的としている.本年度はその最初の段階として,基本素子のフォトニック結晶導波路の実証を目指した. まず,カルコゲナイドガラスの加工プロセスの開発を行った.InP基板上にカルコゲナイドガラスを真空蒸着し,導波層を形成する.次に電子ビーム描画と誘導結合プラズヤエッチングで導波路を形成する.最後に導波路下部のInPをエッチングすることでエアブリッジ構造とし,完成となる.作製した導波路の精度をSEM観察より評価した結果,フォトニック結晶を形成する円孔の側壁の角度は〜75°となっていること,また,直径の揺らぎは±10nmであることがわかった.このように同材料系のフォトニック結晶導波路を初めて作製することに成功したが,精度はまだ不十分で,さらなる改善が必要である.作製した導波路の端面から波長1.55μmの光を入射したところ,明確な出射光が赤外カメラで観察された.また透過スペクトルを測定したところ,解析と一致した導波帯域が得られた.これらのことから,導波路内を光が伝搬したことが確認された.続いて,非線形光学効果の観測を目的として,光パルスを導波路に入射した.入射パルスの強度を高くするにつれて,非線形光学効果のひとつである自己位相変調が顕著になり,出射パルスのスペクトルが変化していく様子が観測された.カルコゲナイドガラスフォトニック結晶導波路においてこのように非線形効果が観測されたのは初めてのことであり,この成果は応用物理学会において口頭発表した.
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Research Products
(1 results)