2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物長距離情報伝達機構を探るミヤコグサモデル実験系の構築
Project/Area Number |
08J07623
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
馬郡 慎平 National Institute for Basic Biology, 共生システム研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 長距離情報伝達 / ミヤコグサ / 根粒形成 |
Research Abstract |
高等植物において維管束を介した長距離シグナル伝達は全身的な発生制御・環境応答に必須である。しかし、その詳細な制御機構は明らかではない。そこで、本研究では独自に、モデルマメ科植物ミヤコグサの根粒数制御機構を例に、植物長距離情報伝達系を解析するための基盤整備を試みた。 平成二十年度は、根粒過剰着生変異体too much love(tml)の表現型解析を通じ、TMLと既知の遺伝子HAR1によって制御される長距離シグナル伝達系の存在を明らかにした。これを踏まえ、平成二十一年度は、tml変異体の原因遺伝子特定を中心にさらなる分子遺伝学的研究を行った。マッピング及びtmlアレルを用いた解析により、その原因遺伝子はF-boxとKelch repeatsをもつ新奇タンパク質をコードすることが分かった。これは、植物長距離情報伝達にF-box遺伝子が関わることを初めて示した重要な発見である。 F-boxタンパク質はSCF複合体というタンパク質複合体を形成することで、標的タンパク質を取り込みそのユビキチン化を触媒することが知られている。新奇F-boxタンパク質TMLの詳細な機能を明らかにするには、これまでの分子遺伝学的手法のみならず、生化学的手法を取り入れることが不可欠である。そこで今年度は、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校生化学・細胞生物学部門へ海外渡航をし、免疫沈降法やIn vitroタンパク質分解アッセイなど、F-boxタンパク質の機能解析に必須な技術を習得した。 本研究において、地上部と地下部を介する植物長距離情報伝達機構の一端が明らかになった。この成果は、全身的な発生制御に関わる新奇の植物ホルモンの発見、及び、有用作物の人為的な発生制御を将来的に可能にする重要なものである。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
馬郡慎平
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Journal Title
The Handbook of Plant Mutation Screening : Mining of Natural and Induced Alleles(Wiley-Blackwell-VCH)
Pages: 3-16
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