2008 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃体依存的な記憶・学習における神経修飾物質の作用機序の解明
Project/Area Number |
08J07643
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田附 千絵子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 扁桃体 |
Research Abstract |
扁桃体における記憶メカニズムを理解するため、扁桃体で放出される神経修飾物質であるアセチルコリンの作用を検討した。この実験では、現有する電気生理実験機器セットを用いて、購入した刺激電極とガラスキャピラリを用いた。まず、マウスの脳スライスから扁桃体の興奮性ニューロンをホールセルパッチし、通常状態におけるAMPA受容体を介した電流を記録した。アセチルコリン受容体のアゴニストを投与した結果、AMPA受容体を介した電流が有意に減弱した。また、ムスカリン性アセチルコリン受容体のアンタゴニストを用いることにより、アセチルコリン受容体のアゴニストの効果はムスカリン性アセチルコリン受容体を介していることを明らかにした。さらに、非常に短い間隔で2つの連続した電気刺激を与えたときの1回目の応答に対する2回目の応答の大きさ(PPR)を観測したところ、アセチルコリン受容体のアゴニストを投与するとPPRは増大したことから、アセチルコリンはシナプス前終末に作用している可能性が考えられた。そこで、その作用機序を検討するために、シナプス前終末で発現して神経伝達物質の放出に関与している電位依存性カルシウムチャネルの阻害剤を用いた。その結果、アセチルコリンの作用はNタイプおよびP/Qタイプの電位依存性チャネルを少なくとも一部介していることを明らかにした。ムスカリン性アセチルコリン受容体はM1-M5の5種類存在する。そのうち、シナプス前細胞に発現していると考えられているM2、M4のダブルノックアウトマウスを作製した。予備実験を行ったところ、アセチルコリン受容体のアゴニストによるAMPA受容体を介した電流の減弱はM2、M4を介している可能性が示唆された。
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