2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07654
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高山 真 Keio University, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会学 / 記憶 / 語り / ライフストーリー / 長崎 / 原爆 |
Research Abstract |
本年度は上記研究課題に関し、長崎における原爆被災者への生活史聞取り調査、及び我が国の原爆被災に関する社会科学的研究の文献、「長崎原爆戦災誌」「長崎の証言」等、長崎原爆に関する郷土史の蒐集と分析に取り組んだ。生活史聞取り調査では、一般に「語り部」と呼称される被災者を対象に、「なぜ原爆被災という出来事について語りつづけるのか」という視点から継続的な聞取りを実施し、「災厄的な出来事に関する記憶と経験の継承」という社会的に重要な意味をもつ課題について検討した。この中間的な成果報告について関東社会学会、国際オーラルヒストリー学会にて報告し、日本オーラルヒストリー学会主催のワークショップにおいて「〈戦争の記憶〉の継承とオーラルヒストリー」をテーマとしたセッションのコーディネイタを務めた。このセッションは、研究者のみならず、広く一般市民も参加し、研究課題についての紹介、意見交換等を行い、後日、朝日新聞社会面において本研究課題の一貫である原爆生存者への聞取り調査が、「長崎の被爆者院生と対話3年:記憶の継承を模索する」という標題にて紹介された。これはアウトリーチ活動としての性格を有するものである。また、大学教員、博士課程大学院生を中心として運営されるライフストーリー研究会から『過去を忘れない語り継ぐ経験の社会学』を出版し、調査活動の中間報告として執筆を分担し、上記研究課題に関連する研究拠点の長崎大学紀要へ論文を投稿し、掲載された。来年度も継続的に被災者を対象とした聞取りを実施し、得られたデータについて、本年度蒐集した原爆被災に関する社会科学的研究、および郷土資料を中心とする歴史資料からの多角的な分析を行う。また、長崎大学における国際シンポジウム「他者・過去との共生」での報告が決定しており、日本社会学会はじめ各種学会での報告を行い、博士論文執筆と平行し、各種学会誌への論文投稿を予定している。
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Research Products
(5 results)