2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07662
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 千尋 (佐藤 千尋) Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経行動 / 学習・記憶 / 神経生物 / 昆虫生理 / 動物生理化学 |
Research Abstract |
本研究は主にゴキブリの唾腺ニューロン記録法を用いて、昆虫の学習形成過程に関わる報酬系や罰系の生体分子の役割と、この学習系に関わる領域及びニューロンを調べることを目的としている。 本年度は10月より復学し、北海道大学水波研究室に出向する形で研究を続けることとなった。復帰当初は研究室の移転に伴い雑務や実験装置の立ち上げに時間を割かざるを得なかったが、ピコポンプを使用した脳領域への薬物の局所投与技術を習得できた。その実験では、ゴキブリの唾腺ニューロンの神経活動を記録しながら、訓練前の匂い応答テスト、ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬であるメカミラミンの側葉への局所投与、報酬学習訓練、訓練後の匂い応答テスト(メカミラミン投与1時間後と3時間後)をこの順で行なった。実験から、ニコチン性アセチルコリン受容体の阻害によって、学習自体ではなく学習効果の読み出しや表現が阻害されたと考えられる結果を得た。従って、側葉領域のアセチルコリン受容体は報酬学習の成立に関わるニューロンの下流に存在していることが示唆される。この結果は他の結果と合わせた論文として現在投稿準備中である。この実験で習得した局所投与技術によって脳内の特定の領域(キノコ体、触角葉など)に限局した薬品の投与が可能になり、さらに限局した領域(キノコ体の傘部・葉部)への局所投与技術を開発した。 以上、今年度(6ヶ月間)は今後の研究に有用な薬品の局所投与技術を習得し、固定下の昆虫において報酬記憶の場や機構を調べる過程が一歩前進した。また、側葉で存在するアセチルコリン受容体が報酬学習の成立するニューロンの下流にあることが示唆される結果を得た。
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Research Products
(1 results)