2009 Fiscal Year Annual Research Report
「琉球」の台湾人-台湾系住民の生活史から見る沖縄社会の重層的構造分析-
Project/Area Number |
08J07671
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
八尾 祥平 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 都市社会学 / 国際社会学 / 歴史社会学 / 国際労働力移動 / 多民族間関係 / 台湾 / 沖縄 / 華僑・華人 |
Research Abstract |
台湾における民族間関係の形成過程日本の都市社会学において現在、ホット・イシューとなっている多民族間関係の事例研究として、在沖縄台湾華僑の親睦団体である琉球華僑総会龍獅團の活動を取り上げた。分析の結果、多民族間関係を形成する構成員の間には民族的な違いはあっても、社会的属性の面では共通性があることを解き明かした。この結果は多文化共生を進めるにあたって重要なのは交流プログラムではなく、むしろ、地域の住民であれば国籍に関係なく社会福祉を受けることのできる仕組みがあることが重要であることを示唆しており、地域の外国人問題に取り組む行政関係者や支援者に対して有用な知見を提供できた点で社会貢献ができたという意義がある。この研究成果は『日本都市社会学会年報』(28号)に自由党好論文として掲載される。 台湾から沖縄への技術者・労働者派遣事業研究史の空白となっていた1960年代から1970年代初頭にかけて実施されていた、台湾から沖縄への技術者・労働者派遣事業について取り上げた。文書資料および聞き取り調査の結果から、この労働者派遣事業が軽済的なプッシュ・プル要因ではなく、台湾側の国際秩序構想に基づいて推進されたことを明らかにした。この研究成果は『日本台湾学会報』(第12号)に研究ノートとして掲載される。 国民党政権による戦後東アジア国際秩序構想と沖縄第二次大戦中から戦後かけての時期に、中華民国政府の戦後における東アジアの国際秩序構想が如何にして形成されたのかについて、主に蒋介石の著作や演説等から分析した。この結果、蒋介石は戦中から戦後にかけての時期に東アジアにおける国際秩序を構想した際、単に近代主権国家による国際関係を樹立することを考えていたのではなく、比較的国際秩序の安定していた近代以前の歴史的な国際関係のなかに近代的な国際関係を埋め込もうとする発想が萌芽的にみられることを指摘し、沖縄との関係もこうした「歴史」のなかに位置づけようとしていたことが明らかとなった。この研究成果は『琉球・沖縄研究』(第3号)に投稿論文として掲載される。
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Research Products
(6 results)