2008 Fiscal Year Annual Research Report
死細胞の処理に伴う一酸化窒素産生とそれによる生体の恒常性維持
Project/Area Number |
08J07717
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
柴田 岳彦 Toho University, 理学部理学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | アポトーシス / 好中球 / 一酸化窒素 / 炎症 / マクロファージ / 黄色ブドウ球菌 / ケモカイン / 貪食 |
Research Abstract |
本研究では、好中球のアポトーシスを伴う炎症の終息における一酸化窒素(NO)の役割を解明することを目的とした。そこで、マウスの腹腔にホルマリン固定した黄色ブドウ球菌(S.aureus)を投与することにより炎症モデルを作製し、野生型(WT)と誘導型NO合成酵素(iNOS)遺伝子欠損(KO)マウスでの応答を比較検討した。これまでの本研究結果から、NOがこの炎症応答を抑制すると予想された。結果、炎症後期にWTよりもiNOS KOマウスにおいて多くの好中球が検出された。これは、NOによるmacrophage inflammatory protein-2(MIP-2)やkeratinocyte-derived chemokine(KC)産生を介した好中球浸潤の抑制によるものと予想した。そこで抗体によりこれらケモカインを中和したところ、iNOS KOマウスの好中球数に変化はみられなかった。すなわち、炎症後期でのMIP-2やKC産生は、好中球浸潤には関与しないことが示された。一方、好中球のアポトーシスについて調べたところ、WTマウスではほとんど検出されなかった後期アポトーシス細胞がiNOS KOマウスでは多く検出された。この後期アポトーシス細胞は、マクロファージとの共培養によりTNF-α産生を誘導し、実際炎症後期のiNOS KOマウスにおいてその産生がみられた。また、このような状態に陥ったiNOS KOマウスにNOドナーとしてDEA-NONOateを投与すると、WTと同程度に後期アポトーシス好中球数、好中球数、TNF-α産生か抑制された。これらの結果より、NOは好中球の正常なアポトーシスを誘導し、炎症の終息を誘導することが明らかになった。このように、NOは生体の恒常性維持に深く関わっていることが示された。
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Research Products
(1 results)