2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07743
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相良 剛光 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 液晶 / 発光 / 刺激応答性材料 / 準安定相 / 超分子 |
Research Abstract |
申請者は分子間相互作用を利用して発光部位を精密に配置し、その集積構造を変化させることで、バルク材料全体での発光特性の変化をねらった研究を行ってきた。二種類以上の発光部位の集積構造を作り出すため、分子間相互作用を競合させ、準安定相を誘起するという概念を導入している。準安定相は、外部刺激により安定な集合状態に変換でき、外部刺激に応答して発光色が変化する材料を構築するのに非常に有利である。本申請研究では秩序性と動的特性をあわせ持つソフトマテリアルである液晶こ着目し、刺激に応答して発光色が変化する液晶材料の開発を行っている。 すでに申請者はせん断という機械的刺激に応答して発光色が変化するピレン誘導体を開発している。本年度は更なる知見の集積を目的とし、発光部位をピレンからアントラセンに変更した化合物を設計・合成した。このアントラセン誘導体は等方相から急冷すると、準安定なミセルキュービック相を発現するが、徐冷すると安定なカラムナー相を発現する。キュービック相中ではアントラセン部位がエキシマー形成できるような相関配置となり、黄色の発光を示すが、カラムナー相中ではエキシマーは形成されず、水色の発光を示す。キュービック相は168℃でカラムナー相に相転移し、この化合物はサーモクロミック・ルミネッセンスを示すことがわかった。また、キュービック相にせん断を印加しても、等温的にカラムナー相に相転移し、発光色が黄色から水色に変化することを見出した。
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