2008 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚順応機構における外有毛細胞のIP_3シグナルの役割の解明
Project/Area Number |
08J07768
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲生 大輔 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 内耳 / 外有毛細胞 / カルシウム / IP_3 / 聴覚 |
Research Abstract |
聴覚順応における内耳外有毛細胞のIP_3シグナルの機能を解明することが本研究の目的である。本研究の遂行には、外有毛細胞にIP_3シグナルを阻害する分子(IP_3 5-ホスファターゼ)の遺伝子導入が必要不可欠である。初年度は外有毛細胞への遺伝子導入法の確立に取り組み、アデノウイルスを用いてin vitroでの外有毛細胞への遺伝子導入に成功した。また、子宮内電気穿孔法によるin vivo遺伝子導入にも着手した。 1.in vitro 外有毛細胞への遺伝子導入 幼児ラットの培養内耳組織にGFP遺伝子を発現する3種のウイルスベクター(アデノウイルス、シンドビスウイルス、レンチウイルス)の感染および遺伝子銃によるGFP発現プラスミドの導入を試みた。すると、アデノウイルスを用いた場合に、GFPによる蛍光が外有毛細胞において確認できた。よって、アデノウイルスを用いることでin vitroにおいて効率的な遺伝子導入が可能となった。 2.子宮内電気穿孔法によるin vivo遺伝子導入 次の課題としてin vivoにおいて外有毛細胞に遺伝子導入を行なうことが挙げられる。しかし、成体動物へのin vivo内耳へのウイルス注入は難易度が高く、成功例は少ない。in vivo外有毛細胞への簡便な遺伝子導入法として、子宮内電気穿孔法による手法が昨年末に報告されたため、本研究に導入することにした。まず、子宮内電気穿孔法によるin vivo遺伝子導入するための実験系を立ち上げるため、手法がより確立している大脳皮質への遺伝子導入を試行した。胎生13-15日のマウスにおいて安定して遺伝子導入を達成できるようになった。今後は、胎生11日マウスの内耳への遺伝子導入に取り組む予定である。
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