2010 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚順応機構における外有毛細胞のIP3シグナルの役割の解明
Project/Area Number |
08J07768
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲生 大輔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 内耳 / 外有毛細胞 / カルシウム / IP_3 / 聴覚 |
Research Abstract |
聴覚順応における内耳外有毛細胞IP_3シグナルの生理機能を解明することが本研究の目的である。本研究の遂行には、外有毛細胞にIP_3シグナルを阻害する分子(IP_3 5-ホスファターゼ(5ppase))の遺伝子導入が必要不可欠である。申請者は前年度までに、生体内に5ppaseを生体内へ導入する系の確立に取り組んだ。特に内耳と同様に生体内の深部に存在する坐骨神経にin vivo電気穿孔法を適用し、シュワン細胞に遺伝子導入することに成功している。当該年度は、IP_3シグナルを阻害したシュワン細胞におけるCa^<2+>シグナルの測定、およびIP_3シグナル阻害のミエリン形成への影響の解析を行なった。大まかな結果は以下の2点である。(1)リガンドとしてATPを投与したところ対照群では顕著なCa^<2+>上昇が観察されたのに対し、5ppase導入群では有意にCa^<2+>測定上昇が抑制された。(2)生後2週間にIP_3シグナルを慢性的に阻害したシュワン細胞では、コントロール群と比較して長さと太さが減少した。以上のように、生体内の組織に5ppaseを導入することで、in vivoにおいて、IP_3シグナルを慢性的に阻害することができた。本手法は、標的の組織を露出させることができれば、坐骨神経以外の様々な組織に応用可能であり、IP_3シグナルの未知機能を探索するにあたり強力なツールとなることが期待される。本手法による遺伝子発現は、非分裂細胞においては長期に持続することを確認しており、外有毛細胞のような非分裂細胞に適用可能である。今後は内耳ヘアクセスするための手術法を早期に確立し、in vivo外有毛細胞への遺伝子導入を目指す。
|
Research Products
(2 results)