2009 Fiscal Year Annual Research Report
多角的アプローチによる、咀嚼と嚥下に関与する高次脳機能の解明
Project/Area Number |
08J07784
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
関 伸一郎 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 解剖 / 脳 / 神経 / 大脳皮質 / 顎運動 |
Research Abstract |
モルモットを用いて電気生理学的および形態学的アプローチを行った。麻酔下で咀嚼筋筋電図記録装置を動物につけ、一週間後、無麻酔下で大脳皮質顎運動誘発部位を検索した。左右顎二腹筋前腹と左右咬筋を記録対象とした。電極を大脳皮質に刺入し、電気刺激を与え、筋電図波形の変化から顎運動誘発部位を決定した。電気刺激には、連続電気刺激(30Hz、持続時間200μs、6秒間)とshort train刺激(500Hz、持続時間300μs、8発)の2種類を用いた。連続電気刺激でみられた顎運動は、単純開閉口運動と、水平方向の成分も含む咀嚼様顎運動であった。short train刺激では咀嚼筋に単収縮(筋電図での潜時10-20ms)のみられることがあり、これらは大脳皮質刺激部位とは反対側の顎二腹筋前腹に振幅の大きな反応が、同側の顎二腹筋前腹により小さな反応がみられた。咬筋には、反対側に振幅の小さな反応がみられることがあったが、同側の反応はいまだ検出できていない。同定した誘発部位には、連続電気刺激で単純開閉口運動がみられ、short train刺激で咀嚼筋に単収縮がみられる部位、連続電気刺激で咀嚼様顎運動がみられ、short train刺激で咀嚼筋に単収縮がみられる部位、連続電気刺激では咀嚼様顎運動がみられ、short train刺激で咀嚼筋に単収縮のみられない部位があった。これらの検索に続いて、それぞれの部位に順行性トレーサーを注入し、脳切片作成後、注入部位の組織学的同定および標識軸索の観察をした。注入部位はそれぞれ、大脳皮質無顆粒性皮質外側部および顆粒皮質、無顆粒性皮質外側部、顆粒皮質であった。標識軸索は結合腕傍核や三叉神経運動核周囲の網様体などにみられたが、注入部位による明確な差異はみいだされていない。今後、顎運動誘発部位の検索をさらにすすめ、注入部位の領域を広げ投射の差異を検討していく必要がある。
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