2008 Fiscal Year Annual Research Report
巨大クラスターによる非線形スパッタリング現象に関する研究
Project/Area Number |
08J07793
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市木 和弥 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クラスター / スパッタリング / 非線形効果 |
Research Abstract |
巨大クラスター衝突による非線形スパッタリングは孤立原子衝突や固体衝突とは異なる衝突メカニズムに起因する興味深い物理現象であり、加えて超平坦化加工や高速エッチングといった産業分野への応用が可能である。巨大クラスター衝突時に固体表面で起こる現象を定量的に評価し理解することは非常に重要だが、特定のクラスターサイズを持つ巨大クラスターを用いた照射効果の評価は極めて困難でありほとんど行われていない。第一年度は飛行時開法を用いてサイズ選択を行ったArクラスターイオンビームをSiに照射することにより入射クラスターのエネルギーおよびサイズがスパッタリング収量に及ぼす非線形効果についての評価を行った。飛行時間法は入射クラスターのサイズ選択手法として有用であるが、利用可能なビーム電流量が1/100以下に激減するため二次イオン測定などの一部を除いた照射効果の評価はこれまで不可能であった。本研究ではガスクラスクーイオンビーム照射装置のイオン光学系を新たに設計し、これまでよりも二桁以上高いビーム電流密度の照射を可能とすることにより飛行時間測定法による巨大クラスターのサイズ選択の問題を解決した。巨大クラスター衝突の非線形効果として入射クラスターエネルギーおよびサイズの増加に伴い、それぞれべき乗でスパッタリング収量が増加するという結果を得た。第1年度の研究によって得られた高電流密度サイズ分離ガスクラスターイオン照射技術およびスパッタリング収量の非線形効果評価は、衝突メカニズムの包括的な理解のために第2年度以降に予定している二次中性粒子測定を行う上において非常に重要であるといえる。
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Research Products
(16 results)