2010 Fiscal Year Annual Research Report
巨大クラスターによる非線形スパッタリング現象に関する研究
Project/Area Number |
08J07793
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市木 和弥 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クラスター / スパッタリング / 非線形効果 |
Research Abstract |
数百の原子から構成されるガスクラスターイオンビームは単原子イオンよりも一桁以上高いスパッタ率、高い化学反応性、照射表面の平坦化効果などを持ち、高速無損傷加工や極浅注入、深さ方向分析といった産業分野への応用が期待されている。ガスクラスターの持つこれらの照射効果は照射するガスクラスターイオンの原子種類、構成原子数や速度に強く依存することが報告されており、ガスクラスターの持つさまざまな照射効果がどのようにして誘起されているかの理解は急務である。また巨大なクラスターと固体との相互作用は単原子固体間相互作用と固体固体間相互作用の間を埋める物理現象であるため、その解明は物理学的にも非常に重要である。クラスター照射効果の詳細な理解のためにはさまざまなサイズ、速度のクラスター照射を行い、放出される二次粒子を測定するなどして誘起される照射効果を定量的に評価する必要がある。第三年度では第二年度までの結果を元に高いサイズ分解能でクラスターイオンを選別照射可能なクラスターイオン源の設計を行った。ガスクラスターと固体との衝突メカニズムの評価のためには放出される二次粒子の分析が必要であるが、二次粒子の飛行時間分析を行う場合、サイズ分布を持つガスクラスターイオンビームにはさまざまな速度のクラスタービームが混在するため入射ビームが時間的に広がるという問題があった。しかし新たに設計した装置では高い分解能での入射クラスターイオン選別により約100nsという短いパルス幅が可能となった。また、得られた100ns程度のパルス幅のガスクラスターイオンビームを用いて実際に有機試料の二次イオン分析を行い高い時間分解能での飛行時間質量分析にも成功した。以上のことからこの研究はクラスターイオンと固体との衝突メカニズムの解明に非常に有用であると考えられる。
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Research Products
(17 results)