2008 Fiscal Year Annual Research Report
非自明な漸近構造をもつ高次元時空におけるブラックホール
Project/Area Number |
08J07858
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木村 匡志 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高次元時空 / ブラックホール / 非自明な漸近構造 / 非等方インフレーション |
Research Abstract |
本年度に実施した研究の成果は主に以下の3つである. 1.歪んだ地平面をもつKaluza-Kleinブラックホール上の重力摂動の研究: 歪んだ地平面を持つKaluza-Kleinブラックホール上の重力摂動を調べ,もっとも対称性の高いモードに関して安定性を示し,また準固有振動について議論した.安定性の性質は,このブラックホールが現実に実現しうる可能性を見る意味で重要である.また,準固有振動の研究によって時空が4次元の場合に比べて重力が多く放出される可能性を示した. 2.非自明な漸近構造をもつ5次元時空における多体ブラックホールの地平面の解析性の研究: 近年,高次元時空における多体ブラックホールの地平面が解析的ではないことがわかってきたが,漸近構造として非自明なトポロジーをもつ時空を持つ場合には解析的である場合があることを示した.これは解析性という局所的な性質と,時空の漸近構造という大域的な性質が密接にかかわっていることを示唆している. 3.非等方インフレーションモデルについての研究: 通常のスカラー場を用いたインフレーションモデルに空間的なベクトル場を加えることで,非等方なインフレーションを引き起こすモデルを構成した,これは,宇宙背景放射の非等方性,初期重力波,を説明できる可能性をもち,将来の精密測定によって検証できるかもしれない.これに対してより正確な予言を行うために更なる研究として,この時空を背景とした摂動を計算する必要があり現在進行中である.
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