2008 Fiscal Year Annual Research Report
公共投資の競合とその影響-兵庫県南部の地域開発を事例に-
Project/Area Number |
08J07894
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
林 昌宏 Osaka City University, 大学院・創造都市研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 公共投資の競合 / 地域開発 / 兵庫県南部 / 港湾整備 / 政府間関係 |
Research Abstract |
平成20年度は、1960年代から1980年代にかけての大阪湾一帯の港湾整備に関する政治経済的分析に取り組んだ。1960年代初頭に全国各地の主要港湾では、大量の船舶が入港し「船混み」が社会問題化した時期がある。この結果、各地の主要港湾では大規模化が図られ、コンテナ埠頭やフェリー埠頭が整備された。神戸港と大阪港は、その最たる例であった。これにより「船混み」の問題は解決へと至り、取扱貨物も大幅に拡大することになった。ところが、このような状況は、当時、両港と同様に大規模化をめざしていた尼崎西宮芦屋港の整備事業を見直しへと追い込む動因にもなった。本研究が注目したのは、神戸港、大阪港の港湾整備のプロセスを概観した上で、それが両港の間に位置する尼崎西宮芦屋港とどのような相関関係にあったのかについてである。 これらを明らかにし、政府間関係論、あるいは港湾整備をめぐる議論に新たな知見を加えるべく、主に当時の港湾計画書、統計、白書類、議会議事録、新聞など一次資料を中心に調査した。港湾計画書、白書類、新聞などについては、主に国立国会図書館や各地(大阪府内、兵庫県内)の図書館、資料館で調査を行った。 調査の結果、港湾整備をめぐる中央政府の権限は、それほど大きくないことが明らかとなり、地方自治体、利益団体の意向が港湾整備に反映される傾向が観察された。そして、各地方自治体の自律的で競争的な行動が港湾管理の一元化を妨げ、アンバランスな港湾整備をもたらす背景になった一方で、港湾の大規模化の促進要因であった。
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Research Products
(2 results)