2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 元博 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小児がん / ゲノム解析 / エピゲノム解析 |
Research Abstract |
小児がんの治療成績は化学療法の進歩などにより改善されてはいるものの、乳児白血病や進行神経芽腫などにおいて長期生存が得られる患児は50%以下にとどまり、また治癒例においても晩期合併症によるquality of lifeの低下は深刻な問題である。本研究は、発症に関与する分子病態の解明に貢献する知見を得ることを目的とし、主に小児がんを対象としてゲノム異常・エピゲノム異常について網羅的な解析を行った。神経芽腫においては239例の検体においてAffymetrix 250Kアレイを用いて網羅的ゲノム解析を行った結果、2p23のALK遺伝子を含む領域の高度増幅を6例に認め、変異解析の結果、21例に点変異を検出した。点変異はkinase domain内に集中しておこっており、これらの変異ALKを組み込んだ細胞において自己リン酸化の増強と酵素活性の上昇が確認された。すなわち、ALKの機能的活性化が神経芽腫の発症に関与していることが示された。このことは、ALK阻害剤の難治性神経芽腫の治療における有効性を示唆し、神経芽腫の治療成績の改善につながりうる重要な知見である。また、乳児白血病25例において網羅的ゲノム解析を行った結果、3例に17番染色体短腕に片親性ダイソミーが生じていることが示され、免疫沈降法と高密度タイリングアレイを用いたDNAメチル化解析(エピゲノム解析)を行った結果、HOX遺伝子群のメチル化パターンが明らかになり、これらの異常と乳児白血病との関連が示唆されたため、今後の検討を行っていく予定である。横紋筋肉腫37例に対しても網羅的ゲノム解析を行い、PAX3/PAX7遺伝子とFKHR遺伝子の融合遺伝子が高頻度に増幅していることが示され、難治性である横紋筋肉腫のゲノム異常プロファイルが明らかにされた。
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