2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J07940
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 吉宣 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ボロン / 準結晶 / 近似結晶 / 複雑構造固体 / 擬ギャップ / ホウ化物 / TEM / STEM |
Research Abstract |
ボロン系準結晶研究において、これまでに得られたB-Ti-Ru準結晶は、安定相として知られる準結晶と比較して構造規則性が低い。また、試料中に準結晶相の含まれる割合はわずかである。本年度はより構造規則性の高い、安定な準結晶を得ることを目的として、B-Ti-Ru合金系において組成比を変えて、またRuを周辺の遷移金属に置き換えた合金系で探索を行った。 具体的には、B-Ti-TM(TM=Ru,Rh,Re,Ir)の合金を作製し、相探索を行った。各元素の高純度原料をアルゴン中でアーク溶解・混合し母合金を作製した。アーク炉とCu単ロール急冷装置を組み合わせた装置を用いた。試料の相同定および構造解析にはCu-αX線による粉末X線回折と、透過型電子顕微鏡による電子線回折、HAADF-STEM法による直接観察を行った。 B-Ti-Ru系急冷合金中に構造不規則性の高い準結晶、およびB-Mg-Ruと同様の多様で複雑なタイリング構造を持つ近似結晶を観察した。これらはHexagonおよびBoatによるTilingで描き表され、B-Mg-Ru系と同じく複雑な長周期の変調構造が生成することがわかった。B-Ti-Rh系においても近似結晶が生成することを明らかにした。しかしながら現在のところ物性測定に適した準結晶試料は得られていない。B-(Ti,Sc,Mg)-Ru近似結晶について、バンド計算(FLAPW法)から電子の状態密度分布を求めたところ、フェルミエネルギー付近に深い擬ギャップを有することがわかり、フェルミエネルギーが擬ギャップの底に近づくように価電子濃度を調整した組成で試料を作製し、準結晶の安定化を図るという今後の方針に目途が立った。
|
Research Products
(3 results)