2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロキシフェニルオキサゾリンを含む新規不斉触媒の開発及び生物活性物質の効率合成
Project/Area Number |
08J07941
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅村 周平 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 精密有機合成 / 触媒 / ビブリオバクチン / 生物活性物質 / 全合成 / オキサゾリン / 酸化モリブデン(VI) / 保護基 |
Research Abstract |
酸素や硫黄、窒素原子などのヘテロ原子を含む複素環化合物は、医薬品や機能性材料など多岐の分野にわたって用いられている化合物である。多官能基化された複素環化合物は極めて重要であり、これらは精密有機合成により多種の化合物が合成されている。また、環境への負荷を軽減した触媒を用いた反応開発も多く行われている。研究代表者は酸素、窒素含有五員環化合物であるオキサゾリンに着目し、酸化モリブデン(VI)を用いた触媒的オキサゾリン合成を行ってきた。 当該年度ではオキサゾリン含有生物活性物質の合成研究を行った。o,m-ジヒドロキシフェニルオキサゾリンを有するビブリオバクチン類に着目し、これらの効率的合成を目指した。まず、酸化モリブデン(VI)触媒を用いたo,m-ジヒドロキシフェニルオキサゾリンの合成を行った。o,m-ジヒドロキシフェニル基の二つの水酸基をo-キシリレン基で架橋することで、反応性が劇的に向上することを見出した。これまでにo-キシリレン基を保護基として用いた反応例は数例しかなく、また天然物合成への応用は初めてであり、o-キシリレン基の有用性を見出した。さらに、アンチモン(III)アルコキシドを用いたエステル・アミド交換反応による選択的アミド化反応を見出した。これらの反応を用いて生物活性物質ビブリオバクチン及びフルビバクチンの効率的な合成を達成し、Chemical Communications誌に発表した。 本研究により、保護基としてのo-キシリレン基の重要性を見出すとともに、酸化モリブデン(VI)及びアンチモン(III)アルコキシドを用いた新規反応によるビブリオバクチン類の効率的合成を確立した。これによりオキサゾリン含有生物活性物質の有機化学、生化学でのさらなる発展が期待される。
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Research Products
(6 results)