2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロキシフェニルオキサゾリンを含む新規不斉触媒の開発及び生物活性物質の効率合成
Project/Area Number |
08J07941
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅村 周平 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 精密有機合成 / 触媒反応 / 保護基 / Pyroc基 / 不斉反応 / 速度論的光学分割 / ラクタム / アシル化反応 |
Research Abstract |
酸素や硫黄、窒素原子などのヘテロ原子をもつ環状化合物である複素環化合物は、医薬品や機能性材料など多岐の分野にわたって用いられている化合物である。多官能基化された複素環化合物は極めて重要であり、これらは精密有機合成により多種の化合物が合成されている。また、環境への負荷を軽減した触媒を用いた反応開発が行われている。私は、酸素および窒素を含む五員環化合物であるオキサゾリンに着目し、酸化モリブデン(VI)を用いた触媒的オキサゾリン合成を行っている。 当該年度においては、触媒的不斉アシル化反応による非対称化に関する研究を行った。本研究に関してはこれまでに不斉アシル化反応による速度論的光学分割に有効な有機分子触媒を開発している。この速度論的光学分割では、ラセミカルボン酸のα位の水酸基の保護基として、カルバモイル基が不斉アシル化に有効的であり、なかでも触媒と水素結合しやすい電子供与性の強いものが高い選択性を与えることがわかっていた。その一方で、カルバモイル基の電子供与性が強ければ強い程、その脱保護が難しく、せっかく光学分割できても、保護基を外せないという合成化学上の致命的な欠陥を抱えていた。本研究年度において種々検討を重ねた結果、水素結合のアクセプターとして優れ、かつ着脱容易なPyroc基の開発に成功した(Synlett 2009, 1647)。Pyroc基は二段階の化学処理を経て容易に脱保護できる。またこれらの研究成果は、日本化学会第90春季年会において口頭発表を行った。 また、チタニウムアルコキシドを用いた還元的クロスカップリング反応を鍵とする多置換γ-ラクタムの効率合成法の開発に従事し、チタニウム・ケミストリーの発展に貢献した(Org.Lett.2009,11,5402.)。
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Research Products
(4 results)