2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス卵形成過程における発生能獲得の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
08J07943
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 梓 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 発生能 / 卵母細胞 / 核小体 / Nucleoplasmin 2(NPM2) / Nucleolar-like body(NLB) / RNAi / マウス |
Research Abstract |
哺乳類の卵母細胞は成長過程で受精後の発生を遂行する能力(発生能)を獲得するが、その分子的実体はまったくわかっていない。本研究の目的は、卵子の発生能に関与する因子を同定し、発生能獲得の分子メカニズムを解明することである。発生能の実体を解明することは胚の発生能を高める方法の開発に貢献し、特に畜産や不妊治療の分野に多大な意義をもつもの思われる。 本研究ではこれまでに核移植実験によって、卵母細胞の核内に存在する因子が発生能に重要であることを示している。近年、卵母細胞の核内に存在し、構成成分や機能がまったくわかっていない核小体様構造体Nucleolar like body(NLB)が発生に必須であることが証明された。本研究では、発生能に関与する因子がNLBに存在するのではないかと考え、前年度からNLBに関する研究をおこなっている。 昨年度の本研究で卵特異的なタンパク質であるNucleoplasmin 2(NPM2)をNLBの構成成分として初めて同定した。NPM2は初期発生に必須な母性効果遺伝子であることは知られていたが、NLBへの局在やNLB形成への関与は知られていなかった。今年度はRNAiを用いたNPM2タンパク質のノックダウン実験によって、NPM2がNLBの形成に必須であることを明らかにした。また、変異NPM2のmRNAを用いた回復実験により、NPM2がNLBに移行することがNLBの形成に必要であることを示した。NLBは発生に必須な構造体であることから、NLBの構成成分を明らかにすることは発生能の実体の解明につながると考え、現在Yeast Two Hybridや共免沈からのMass Spectrometryなどの手法を用いてNPM2のパートナーを探索している。
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