2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム遺伝子Bmi1による造血幹細胞の自己複製と分化の制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J07957
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小黒 秀行 Chiba University, 大学院・医学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 造血幹細胞 / ポリコーム遺伝子 / 分化制御 |
Research Abstract |
多種の幹細胞の自己複製能の維持において必須であるBmi1の新規の標的遺伝子を探索するため、以前に造血幹細胞を用いて網羅的遺伝子発現解析を行い、幾つかの新規の標的遺伝子の候補を発見した。その中で、造血幹細胞の制御において重要と考えられる遺伝子を選別し、現在解析を行っている。Bmi1欠損造血幹細胞においては通常抑制されている一連のB細胞分化制御遺伝子群の脱抑制が観察され、Bmi1はこの遺伝子群の中でEbf1とPax5を直接制御していることをBmi1のクロマチン免疫沈降で確認した。胎生幹細胞のこれまでの研究で、発生・分化制御遺伝子の発現は幹細胞で抑制されているものの、その後の発現に備え、プロモーター領域のヒストンは活性化と抑制の両方で修飾されていることが示されているが、今回、造血幹細胞においてもEbf1やPax5が同様の機構で制御されていることを示した。Bmi1欠損造血幹細胞では、活性化修飾は維持されているが、抑制の修飾が低下することでEbf1やPax5の脱抑制が引き起こされる。この現象がBmi1欠損造血幹細胞にどのように影響するか解析したところ、正常マウスへの骨髄移植後にB細胞分画が有意に増加し、T細胞分画は逆に著減していた。しかし、Bmi1欠損マウスにおいではB細胞分画の増加は見られないが、これはInk4a、Arfの発現亢進と、B細胞分化に必要な骨髄環境の障害の2つの別個な原因によることを明らかにした。現在in vitro培養系における詳細な解析を行っているが、このようにBmi1は造血幹細胞においてEbf1やPax5を抑制することで、造血幹細胞からリンパ球へのコミットメント、さらにB細胞系、T細胞系の選択を制御していることを明らかにした。
|
Research Products
(4 results)