2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
月山 幸志郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有効相互作用 / 核力 / 不安定核 / 繰り込み群 |
Research Abstract |
原子核の呈する様々な現象を核力に基づいて記述することは重要な課題である。低エネルギーにおける強い相互作用(核力)は典型的には核子とパイオン等の中間子を自由度として記述され、いくつかの有効理論や模型が存在する。それらは核子散乱の実験データの高精度の再現性を持つ意味で現実的核力と呼ばれる。現実的核力は一般に強い短距離斥力をもち、核力に基づく第一原理的な原子核の記述を困難にしている。また、多体問題において、原子核内で誘起される多体力を考慮することも不可欠である。この状況に対して、In-medium Similarity Renormalization Group(IM-SRG)を用いて研究を行った。 IM-SRGではフェルミ面まで粒子が詰まった参照状態を考え、その状態に対して正規順序で書かれた演算子に対するFlow方程式を導出した。その解は核子系のHamiltonianに関するユニタリー変換を与え、多体系内における核子相関と誘起される多体力の効果を取り入れている。結果として、基底状態とバレンス核子間の有効相互作用を同時に得ることができる。理論の持つSize extensivityや非摂動的な側面を、閉殻原子核を例にとって示した。 また、物質の存在限界であるドリップ線付近で重要となる連続状態の効果を現実的核力と共に考慮した研究を行った。Gamow基底を導入し共鳴を含む連続状態を記述し、また現実的2体核力から出発して、一種の摂動展開であるQ-box展開法を用い、模型空間における有効相互作用を微視的に導出した。酸素同位体のドリップ線や励起状態の実験的性質を系統的に再現し、ドリップ線近傍における連続状態の重要性を示した。
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Research Products
(14 results)