2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
月山 幸志郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有効相互作用 / 核力 / 繰り込み群 |
Research Abstract |
現実的核力に基づく二重閉殻原子核の基底状態の第一原理計算、および殻模型の有効相互作用の導出に関わる研究を行った。核力の低エネルギー有効理論においては、短距離の詳細は分解されず、典型的には核子とパイオン等の中間子を有効な自由度として記述される。これらを有効自由度として核子間相互作用を記述するカイラル摂動論を理論の出発点とした。 前年度に引き続きIn-medium Similarity Renormalization Group (IM-SRG)を用いた。IM-SRGでは、核子系のHamiltonianに関するユニタリー変換を与え、多体系内における核子相関と誘起される多体力の効果を取り入れて、閉殻原子核の基底状態とバレンス核子間の有効相互作用、有効演算子を統一的に求めることができる。この方法は非摂動的であり、またSize extensivityであるため理論の誤差を質量数に比例する程度に抑えることができる。このような側面も持つIn-medium SRGが第一原理の手法として核構造計算に適応できることを示した。 具体的には、二重閉殻原子核(4He, 16O, 40Ca)の基底エネルギーにと半径に関してCoupled Cluster法と同等の高精度を持つことを示した。この際多体の波動関数に含まれる非物理的な重心励起の成分は非常に小さく抑えられることも示した。さらに、IM-SRGが有効ハミルトニアンの導出に関して低次の摂動論を厳密に含み、Q-box展開法と同等の精度であることを解析的・数値的に示した。例として6Liの励起スペクトルを計算し、厳密対角化の結果と非常に良い一致をすることを確認した。 このようにして、原子核の第一原理計算、および有効理論の構築において、IM-SRGが極めて有用であることを示した。これらのことは学位論文にまとめ、その一部を論文として投稿し、残りは現在投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)