2008 Fiscal Year Annual Research Report
単純形体によるトレーサブルな歯車測定機のナノスケール校正法に関する研究
Project/Area Number |
08J08026
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 余範 Tokyo Institute of Technology, 大学院・情報理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 歯車測定機 / 歯形 / ピッチ / double ball artifact / multiball artifact / トレーサビリティ / 校正 |
Research Abstract |
校正されたマスターギヤは,歯車測定機のトレーサビリティを保証するために使用されている.しかし,歯面の形状や粗さに起因し,その校正精度は1-2μmの測定不確かさを持つ.一方,生産現場において最高級精度の歯車をトレーサブルに評価するために,0.3μm以下の精度が保証された基準原器が要求されている.そこで,複雑な形状を有する歯車に代わり,単純な形体である球と平面で構成された新たな基準(MBA:multiball artifact)を開発した.基準平面上に球が設置されている.歯車の回転軸に見立てた基準軸を基準平面と球により設定する.その基準軸周りには,球が等間隔に配置される.歯車のインボリュート曲線の代わりに球の円弧を測定することにより歯車測定機の歯形測定機精度が評価できる.インボリュート曲線と円弧の偏差は理論的に算出される.我々は,これまでに2つの球を配置した基準原器(DBA:double ball artifact)を開発し,0.1μmオーダの評価が可能であることを示した.本研究により開発されたMBAは,等間隔に配置された球を測定することによりピッチ測定精度も評価することができる.開発されたMBAの特徴は,(1)球の形状(真円度)は非常に高精度(数十nmオーダ)であるので,ワークに依存した不確かさ要因が非常に小さい.(2)低熱膨張材(0.05×10^<-6>K^<-1>)を使用した環境ロバストなゲージである.(3)1つのMBAで多種の仮想歯車諸元と見立てることが可能である.(4)また,仮想の歯車と見立てられることから,特殊なソフト導入なく市販の歯車測定機の検査ができる.(5)歯形とピッチの両測定精度を検証するができる.実際に開発された三次元測定機を使用しMBAのピッチの校正を行った.校正精度はU_<95>=0.2μmが得られ,要求精度を達成した.また,そのMBAを使用し現場の歯車測定機のピッチ測定評価を行った.U_<95>=0.5μmの校正精度で評価された.この測定機は,従来1μm以下の精度保証がされなかった.MBAは,現場においても有用に受け入れられることを実証した.
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] 高精度ピッチマスターゲージの研究2008
Author(s)
小森雅晴, 大澤尊光, 佐藤理, 竹岡郁, 木天孝, 稲益拓也, 白崎大輔, 近藤余範
Organizer
精密工学会2008年度関西地方定期学術講演会
Place of Presentation
堺市産業振興センター
Year and Date
2008-07-29
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