2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08035
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中西 慶子 The Institute of Physical and Chemical Research, 中野生体膜研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小胞体ストレス / 筋分化 / 膜構造 / 小胞輸送 / アポトーシス |
Research Abstract |
小胞体ストレス時において、小胞体自体の構造がどう変化しているのかということに注目した研究はほとんど行われてはいない。近年私たちは筋芽細胞から筋管細胞への筋分化過程において生理的に小胞体ストレスが発生すること、このストレスが筋分化とそれに伴って生じるアポトーシスの両方に必要であることを見出した。一方でこの小胞体ストレスがどのように引き起こされているかは未だ謎のままである。この謎を解く手がかりとなると考えたのが、筋分化に伴うオルガネラレベルでの分化とも言える、小胞体から筋小胞体へのダイナミックな構造変換である。私たちは本研究を進める中で、筋分化に伴う生理的な小胞体ストレス発生時と、薬剤を用いて人為的に小胞体ストレスを誘導した際に共通して見られる小胞体の特徴的な構造変化を見出した。この構造体は小胞体ストレス発生と共に出現し、小胞体ストレスの解消とともに消失する。この構造体は小胞体膜につながる巨大ベシクル様構造を示すが、小胞体マーカーとして用いられるほとんどの小胞体局在蛋白質はこの構造体の膜上及び内部に存在しない。これまでに明らかにした本構造体局在蛋白質は小胞体・ゴルジ体間輸送に関わる一部の蛋白質である。通常ではUPRにより解消されるレベルの微弱な小胞体ストレス下において、薬剤や関連遺伝子ノックダウンにより本構造体の出現を抑制すると、細胞はストレスが解消されずにアポトーシスを起こし死ぬ。またこの構造体の解消を薬剤によって妨げた場合にも細胞は死に至る。本構造体は未知の新規構造体であり、私たちはこれが小胞体ストレスの緩和/解消に寄与するものではないかと考えている。また小胞体ストレスにより導かれる小胞体の構造変化が、筋分化過程における小胞体の構造変換に関わる可能性についても検討を行っている。
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Research Products
(1 results)