2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞における膜タンパク質の選択的な分解制御機構の解明
Project/Area Number |
08J08052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨士 健太郎 The University of Tokyo, 生物生産工学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | シロイヌナズナ / ホウ素 / トランスポーター / 翻訳後制御 / 液胞輸送 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
高等植物は外部環境に対し、様々な応答を行うことで順応している。外部環境と直接接する細胞膜上には多種多様な膜タンパク質が存在し、環境変化の感知や物質の輸送を執り行う。したがって、細胞膜上の膜タンパク質は厳密にその量を制御されていなければならない。本研究では、植物細胞における選択的な膜タンパク質の分解の制御機構・生理学的意義の解明を目指している。外環境依存的に分解が起きる膜蛋白質のモデルとして、ホウ酸トランスポーターBOR1を用いている。高等植物にとって、ホウ素(B)は必須元素であると同時に、過剰量では害を及ぼす。そのため、植物内のホウ素量は厳密に制御されなければならない。シロイヌナズナホウ酸トランスポーターBOR1はホウ素欠乏条件では、根の様々な細胞で中心柱側の細胞膜に局在し、土壌中のホウ素の吸収・導管への濃縮に寄与している。一方で、ホウ素十分条件下では、BOR1はエンドサイトーシスを介して液胞で分解される。BOR1の分解制御に関わる因子の同定を目的として、BOR1の分解に異常を示す新規変異体の単離・解析をおこなった。BOR1-GFPを発現する形質転換シロイヌナズナに突然変異処理を行い、ホウ素十分条件での蛍光の消失を指標に数系統の変異体の単離に成功している。しかしながら、これまでに単離された変異体を詳細に解析したところ、いずれの変異体においても、エンドサイトーシスを介した液胞におけるBOR1-GFPの分解は正常であった。したがって、これら変異体は上記の制御とは別の機構の異常によるものだと結論づけ、原因遺伝子にコードされた翻訳産物の機能解析に着手している。
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