2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J08078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内出 崇彦 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 震源地震学 / 震源破壊成長過程 / 地震のスケーリング / 自己相似性 / 地震発生層 / インバージョン解析 / パークフィールド |
Research Abstract |
平成20年度は、2004年パークフィールド地震(M6.0)のマルチスケール断層すべりインバージョン解析の結果をまとめたほか、M1.7からM4.6までの5つの中小規模の地震に対しても断層すべりインバージョン解析を実施した結果、大地震から小規模地震に至るまでの、破壊成長過程の詳細を捉えることに成功した。それらのモーメントレート関数を比較すると、M1.7からM4.6までの地震のものは互いに相似な釣鐘状の形であったのに対し、M6.0の地震は破壊の自己相似性から期待されるものよりピーク値が低く、破壊が終わるまで3倍近くの時間がかかっていた。M1.7からM4.6までの地震では、破壊継続時間の半分程度でピークを迎えていることから、前半を「成長期」、後半を「衰退期」と名づけた。一方、これらの6つの地震の累積モーメント関数は、成長期において、共通の法則:M_o(t)=2×10^<17>t^3に沿って成長していることがわかった。時間の3乗に比例する成長は、破壊成長の自己相似性を示唆している。マグニチュードにして約4、地震モーメントにして6桁にわたって共通の法則が見出せたことから、震源における破壊が、大地震でも微小地震でも同じように成長しているということが示唆される。これは即ち、震源による破壊過程の途中だけを見ていても、最終的に大地震になるのか中規模ないし微小な地震で終わるのかどうかわからないということを意味する。なお、M6.0の地震については、動的破壊開始後1秒まではこの共通破壊成長則に乗るのだが、1秒から後は地震モーメントが時間のほぼ1乗に比例する成長に変わる。これは、地震発生層の厚みによって、深さ方向の破壊域の幅が制限されたことによる影響であると考えられる。モーメントレート関数の違いも、この影響によるものであると考えられる。本研究は、時間依存性の入った破壊成長のスケーリング則を提案した初めての例であり、それによって震源の物理を明らかにする有用な手がかりを数多く手に入れることに成功した。
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Research Products
(3 results)