2008 Fiscal Year Annual Research Report
発がん防御機構における細胞老化(OIS)を介した幹細胞分化制御の役割
Project/Area Number |
08J08081
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
村口 輝行 Kanazawa University, がん研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発がん / 幹細胞 / 細胞分化 |
Research Abstract |
本研究では、神経幹細胞における発がん防御機構を解明する目的で、生体内でOncogeneシグナルの神経幹細胞未分化性維持におよぼす影響に焦点を当てて研究を進めている。本年度の研究により、神経幹細胞特異的にRasシグナルの活性化を可能とする遺伝子改変マウスを作製、解析を行ったところ、神経幹細胞は増殖性、未分化性を失い、分化誘導が引き起こされることが判明した。また本年度は、当グループにおいて独自に作製した悪性脳腫瘍モデルを用いて腫瘍起源細胞を特定することを目的として、いくつかの幹細胞に特異的に発現することが報告されている核小体分子ヌクレオメテミンのプロモーターによってGFPを発現させるレポーターシステムを用い、生体内の神経幹細胞においても、未分化な細胞で強い活性を示すかどうか検討した。本プロモーターGFPレポータープラスミドを用いて作製した、トランスジェニックマウスを解析した。まず、GFPの発現の程度により、脳細胞を4分画し、内在性ヌクレオステミンの発現量を検討した結果、GFPの強度との間に相関を認めた。このことから、本プロモーターは、生体内神経細胞系列において、ヌクレオステミンの発現をモニターできるシステムであることが判明した。さらに、神経幹細胞マーカーとされるNestinの発現をみると、GFPの強い発現を示す集団において、Nestinが陽性であることから、ここに未分化細胞が濃縮していると考えられた。さらに神経組織における幹細胞集団においては、非常に高いGFP発現を示す一方、前駆細胞、分化細胞と分化が進むにつれ、GFPの発現が低下していることが明らかとなった。以上の結果より、本レポーターシステムが、生体内でも未分化細胞で強い活性をもつことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)