2010 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散系の制御による刺激応答性高分子ゲル上でのパターン形成と機能化
Project/Area Number |
08J08123
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 智永 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 反応拡散系 / 非平衡 / 非線形 / ゲル / 刺激応答性 / FIS反応 |
Research Abstract |
自然界でみられるパターン形成は非線形・非平衡系で生じる散逸構造形成と大きく関連している。このような散逸構造形成が生じる反応拡散系の一つとしてFIS(ferrocyanide-iodate-sulphaite)反応がある。FIS反応を媒体であるゲル中で生起させると、pHの濃度差として自己複製パターンなどの時空間的なパターンが生じる。このようなパターンは系のダイナミクスによって支配されており、反応や拡散、境界条件などの影響を受ける。本研究ではこのような化学反応によって生じる秩序構造形成と材料の特性を組み合わせることによってシステムを構築し、材料の新規的な機能創発を目指した。 本年度は最初に、温度応答性高分子をグラフトさせた高分子ゲルを作成し、温度変化に応じたFIS反応のパターン形成挙動を観察した。グラフト鎖の有無によってパターン形成の温度依存性に違いが見られ、温度による媒体の変化に起因したパターン形成の変化が見られた。次に、ゲルの網目密度が局所的に異なるヘテロ構造ゲルを作成し、人工的にゲル内の拡散や境界条件を制御することによって、パターン形成の制御を行った。ゲル媒体で反応を人工的に制御することで散逸構造によるパターン形成を制御することに成功した。さらに、RuとTerpyridine錯体の錯形成の性質を利用して、ポリマー間の架橋点が外部環境によって結合・解離する系の構築を行った。Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応を用いた系ではあるが、BZ反応の酸化・還元振動に応じて錯形成が結合・解離し粘度振動することを確認した。このようなシステムによってゾル-ゲル振動やゾル-ゲルパターンなどを実現し、ソフトマシンへの展開が期待される。
|
Research Products
(8 results)