2009 Fiscal Year Annual Research Report
理論予想と分光・測光観測に基づいたトランジットを起こす太陽系外惑星系の研究
Project/Area Number |
08J08141
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
成田 憲保 National Astronomical Observatory of Japan, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 特別研究員PD
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Keywords | 太陽系外惑星 / トランジット / 分光観測 / 直接撮像観測 / すばる望遠鏡 / 惑星形成 / 惑星大気 / ロシター効果 |
Research Abstract |
本年度は特に以下の3つのテーマについて研究を行った。 1.すばる望遠鏡によるトランジット惑星系の公転軌道傾斜角の測定 2.すばる望遠鏡によるトランジット惑星系の大気吸収探索 3.すばる望遠鏡HiCIAOによる既知の惑星系のまわりの惑星・伴星の探索 1については、トランジット(食)を起こす複数の惑星について公転軌道傾斜角を系統的に測定し、3つの惑星系(HD17156b,HAT-P-7b,TrES-4b)についての観測結果を筆頭著者として査読つき論文に投稿し、受理された。また共同研究としてXO-3bの観測結果、および公転軌道傾斜角のモデリングに関わる理論的な方法論も査読つき論文として投稿・受理された。 このうちHAT-P-7bとXO-3bにおいては、惑星の公転軸が主星の自転軸から大きく傾いていることを発見し、特にHAT-P-7bの公転軌道は地球から見ると主星の自転に逆行していることを世界で初めて発見した。これらの観測結果は最近の惑星形成理論の予言と合致するものであり、惑星の形成理論を観測的に検証することができた。 2については、トランジット惑星の大気を高分散分光観測によって探索するものであり、2008年度に提案していたすばる望遠鏡への観測提案が採択され、2009年度には合計7晩の観測時間を割り当てられた。観測はおおむね天候に恵まれ、十分な観測データを取得することができた。本データは2010年度に解析結果をまとめる予定である。またこの方法論を将来の大型望遠鏡計画であるTMT(30m望遠鏡)に適用した場合にどのようなサイエンスができるかを検討し、複数の招待講演を行った。 3については、2009年から開始された系統的な惑星・原始惑星系円盤の探査計画であるSEEDSプロジェクトにおいて、既知の惑星系で外側の惑星・褐色矮星・伴星等を探査することを提案し、観測ターゲットの選定と2009年に得られた初期データの論文化を担当した。なお本論文は2009年度に執筆を行った後、2010年4月1日に学術雑誌に投稿し、本報告書を執筆中に受理された。
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Research Products
(21 results)