2009 Fiscal Year Annual Research Report
高速熱消色反応性を有するフォトクロミック分子スイッチングユニットの開発
Project/Area Number |
08J08157
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河合 重和 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フォトクロミズム / ターアリーレン誘導体 / 分子間水素結合 / 光反応量子収率 |
Research Abstract |
1ヘキサトリエン系フォトクロミック分子は、紫外光照射によりπ共役系の連結様式が大きく切り替わることで濃く着色する、分子スイッチとして興味深い分子材料である。3つのヘテロ5員芳香環をオルト位で連結したターアリーレン誘導体は高効率で光着色することが示された。構造解析の結果から、ヘテロ芳香環間の分子内X-H(X=N,S)水素結合形成が光着色感度の向上に寄与することが示された。今回、分子間においても水素結合ダイマー形成によるフォトクロミック反応活性立体配座の固定化とそれに伴う光反応特性の向上が可能であると考え、中央のチアゾール環の2位に水素結合性カルバメート基を有するフォトクロミックターアリーレン誘導体を合成した。 2合成した誘導体は水素結合性カルバメート基と中央のチアゾールN原子による相補的な水素結合と、t-ブチル基とアリール基との相補的なCH/π相互作用による6点でフォトクロミックホモダイマーを形成することが単結晶構造解析から明らかになった。 3メタノール中では紫外光照射により、その誘導体の閉環体(紫色、極大吸収波長569ナノメートル)に由来する着色を示した。着色反応量子収率はヘキサン中とメタノール中で大きく異なり、基底状態におけるコンホメーションの溶媒依存性が示唆された。NOESYスペクトルの結果からは、メタノール溶液におけるダイマー構造由来の分子間相互作用が観測された。以上のことからこの誘導体はメタノール溶液状態においてもダイマー形成によりコンホメーションが固定化されることで光着色反応性が向上していると考えた。この観測結果を結晶構造、NMRスペクトル及び量子化学計算の結果から考察を行った。
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Research Products
(3 results)