2008 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルム内脱窒細菌の生態解明-系統・機能・生理生態のIn sItu検出-
Project/Area Number |
08J08181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 辰彦 The University of Tokyo, 海洋研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 脱窒細菌 / バイオフィルム / 機能遺伝子 / in situ検出 / 環境微生物 |
Research Abstract |
本研究の最終目標である、バイオフィルム内部脱窒細菌の系統・機能・生理生態のin situ検出ならびに生態解明を行うため、脱窒細菌のin situ検出手法の開発を行った。脱窒細菌は系統学的に多岐にわたっているため従来の16S rRNAをターゲットとしたFluorescence in situ hybridization(FISH)法では検出することが困難である。そこで本研究では、脱窒反応の中でも亜硝酸から一酸化窒素、亜酸化窒素から窒素への還元を担う遺伝子であるnirS,nosZをターゲットとして研究を行った。モデル細菌としてそれぞれの遺伝子をゲノム上に1コピーずつ持つことが分かっているPseudomonas stutzeriを、遺伝子の検出手法としてはRolling Circle Amplification(RCA)法を用いた。細胞の前処理条件、RCAの反応温度等の因子を最適化することによりP.stutzeri内部のnirS,nosZを同時に検出することに成功した。単一の細菌細胞内において複数の機能遺伝子を同時に検出したのは世界で初めての成果である。また検出された細胞から得られた蛍光強度は非常に高く、今後、本手法とフローサイトメトリー等の細胞分取技術を併せて用いることにより環境中に存在する脱窒細菌の同定か可能になると思われた。一方で、本手法による細胞の検出率は低いため細菌の定量に適用するのは現段階では不可能であると考えられた。この低検出率については、更なる反応条件の最適化を行うことにより向上を図る予定である。
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