2009 Fiscal Year Annual Research Report
コーポレートガバナンスにおける取締役の機能とその責任
Project/Area Number |
08J08207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 正和 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コーポレートガバナンス / 企業買収 / 取締役 / 米国法 / エージェンシー問題 / 判例法理 |
Research Abstract |
本研究は、企業経営の場面において生じる株主と取締役との間の利害対立を解決する手法として、取締役の責任制度をはじめとする法制度が果たすべき機能に着目するものである。企業経営の場面では、専門的技能を有する取締役による経営を通じて、株主はより大きな利益を享受することが可能となる反面、株主と取締役との間には情報の非対称性および利害の不一致が存在することから、取締役の行為を規律するための何らかの仕組みが必要となる。その中でも、規律づけの仕組みとして特に重要な機能を果たしているのが法制度である。株主と取締役との間の利害調整の仕組みとしての法制度の機能に着目し、その望ましいあり方を検討することが本研究の課題である。とりわけ、本研究は、友好的買収の場面を題材として、買収対象会社の株主と取締役との間の利害調整のあり方に関する研究を行った。コーポレートガバナンスにおける重要な場面の一つとして、本研究が友好的買収の場面を選択したのは、企業買収の場面では株主と取締役の利害対立が先鋭化すること、わが国でも近年では企業買収が増加傾向にあり、そのほとんどが友好的買収の形態を採用していること、それにもかかわらず、わが国では友好的買収の場面における買収対象会社の取締役に対する規律づけは完全に不足しており、学説上も規律づけを実現するための議論がほとんどなされていないことが理由である。今年度は、昨年度の研究を引き継ぎ、企業買収に関する法理が発達している米国における規律づけの仕組みや、その背後にある考え方から示唆を得ながら、わが国の友好的買収の場面における買収対象会社の取締役に対する規律づけの仕組みについて研究を進め、最終的に研究成果を博士論文の形で執筆した(なお、同論文により、2010年3月24日をもって東京大学から法学博士号を授与された)。同論文は、今後も加筆修正を加えながら、法学協会雑誌に順次掲載する予定である。
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