2009 Fiscal Year Annual Research Report
先見情報を利用した画像再構成理論の構築とPETへの適用
Project/Area Number |
08J08222
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 哲哉 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | PET / 画像再構成 / MAP推定 / 先見情報 / 計算機支援診断 / 病変検出能 |
Research Abstract |
核医学診断技術であるPET(陽電子放出断層撮影法)では、最尤推定に基づく統計的画像再構成法の導入により画質が改善したが、測定データの統計誤差が大きいため、画質は依然として低い。本研究ではPETの画像の大幅な画質改善を目指し、最大事後確率(MAP)推定に基づく新しい画像再構成法を開発する。MAP法に限らず従来の画像再構成法は患者体内の放射性薬剤分布を1つの画像により表現し、その画像を直接推定するのに対し、提案手法では薬剤分布を患者の正常時の画像(背景画像)と局所的病変の写った画像(スポット画像)の和により表現し、背景画像とスポット画像を別々に且つ同時に推定する。このような体内の正常部位と病変部位を別々に再構成する手法はこれまで提案されておらず、PET画像再構成に対する革新的なアプローチである。本年度は、提案手法の性能評価実験の一環として、コンピュータオブサーバーと呼ばれる数値モデルを用いて、提案手法の病変検出性能を評価した。今回は、ヒトの胴体部にある腫瘍および脳内にある病変(腫瘍や血流低下部位)を検出の対象とした。結果としては、提案手法は信号対雑音比の比較的高い領域では良好に病変を分離して推定でき、病変検出能も従来のMAP画像再構成法と同等かそれ以上となった。一方、信号対雑音比の低い領域では病変を誤って消失させる場合があり、病変検出能にも低下がみられた。このことから、提案手法を単独で用いることには多少のリスクがあるため、従来の再構成法による画像と提案手法による画像を併用して医師の判断を補助することが、提案手法の現実的な利用方法と考えられる
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