2008 Fiscal Year Annual Research Report
南方上座仏教社会における老人と介護の研究-輪廻の一場面としての老い
Project/Area Number |
08J08243
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 沙絵 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 老い / 介護 / 死生観 / 宗教実践 / 世代間関係 / 都市・農村比較 / 南方上座部仏教 / 老人ホーム |
Research Abstract |
20年度は、これまでの研究成果を日本における口頭発表及びスリランカの仏教雑誌への投稿というかたちで発表する一方、コロンボ大学社会学部に研究生として在籍しながら、現地研究者とのディスカッション、フィールドワーク、及び語学習得に専念した。 フィールドワークの前半は、予め計画していたとおり、スリランカ西州・大コロンボ市のモラトゥワ町イダマ行政区の老人ホームに訪問・滞在し、ホームに住行高齢者一人一人の日常生活およびライフ・ヒストリーを記述することを主眼に置いてデータを収集した。また、ホームと関わりの深い近隣社会においては、ランダム抽出による世帯調査、ホームステイ先の親族関係を中心とした介護手伝い、歴史に関する文献・情報収集等を行った。 調査を進める中で、このような老人ホームが盛んに建設されている西南海岸都市部での老いと介護をめぐる都市的現象の特殊性が、高齢者の信仰実践や相続関係および世代間相互扶助関係の様相などにおいて浮き彫りになった。この印象は、大コロンボ市からバスでおよそ5時間のところにある農村部での短期滞在後、特に強いものとなった。老いと介護をめぐる昨今の都市的現象を理解するにも、また本研究の第一の課題である「輪廻転生の世界において老いや介護の積極性がいかにして生成されるか」を考えるにも、都市老人ホームでの老いの様相と、農村部で親族とともに経験する老いの様相との比較が必要である。そこで、フィニルドワークの後半は、都市部・農村部比較に着目した次回長期フィールドワークに備えるため、農村部での調査実施準備及び概況的調査に着手した。
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Research Products
(2 results)