2009 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの明暗応答タンパク質の分子細胞生物学的研究
Project/Area Number |
08J08245
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大内 雄矢 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / カルシウム結合タンパク質 / 明暗応答 / 避陰応答 / ストレス応答 / 光合成 / 老化 / サイトカイニン |
Research Abstract |
本研究は、当研究室で発見された新規のCa^<2+>結合タンパク質、CCaP1, CCaP2, CCaP3の生理機能の解明を目的に行った。これまでに、CCaP1とCCaP2は暗期に2倍程度、転写レベルが上昇し、さらに24時間以上の暗条件では日中レベルの10倍程度まで増加することを明らかにした。また、60時間の暗条件の後、光を照射すると数時間以内に転写レベルが日中レベルまで急速に低下することを発見した。このように上昇と減少で異なる発現変動を示す遺伝子は稀であり、その制御機構の解明により、新規の新規のシスエレメントの発見につながると期待している。さらに詳細な解析の結果、CCaP1は光合成機能の低下、CCaP2は老化に関連してその転写レベルを増加させることが示唆された。CCaPの生理機能の解明によりこれまでに知られていなかった植物のシグナル伝達経路を明らかにしたい。 以上の研究に加えて、CCaP類縁遺伝子であるPCaP1の解析を行った。PCaP1遺伝子破壊株を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ、2種類のストレス条件下において、野生株と比べて発現を変動させる遺伝子を見出した。それらの遺伝子の機能を調べたところ、シグナル伝達経路で重要な役割を担っている遺伝子が多く含まれていた。これよりPCaP1が、様々なストレスに応じてシグナル伝達経路を制御していることが考えられる。さらに機能上PCaP1と直接相互作用すると予想される分子を見出し、リコンビナントタンパグ質を作成した。また、条件に依存せず、PCaP1遺伝子破壊株において常に発現が上昇する遺伝子を見出し、PCaP1とこの遺伝子の二重破壊株を作製した。これらの実験材料を用いてこれまで未知であったPCaP1の生理機能に迫るとともに、植物の環境応答に新しい知見を与えることができると考えている。
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