2009 Fiscal Year Annual Research Report
近現代における家族動態の日韓比較――農村都市関係の展開と基礎構造の再編に着目して
Project/Area Number |
08J08267
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
奥井 亜紗子 Ritsumeikan University, 国際関係研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 家族変動 / 農村-都市移動 / 日韓比較 |
Research Abstract |
本研究は近現代の家族変動における伝統的な構造の持続と、変動の結果出現した近代家族的側面との有機的連関を日韓比較を通じて明らかにすることを目的とする。具体的には、近代化にともなう農村-都市関係の展開とそのなかで発生する人口移動に焦点を当てて、農村-都市移動者に追跡的調査を行うことによって実証的に分析するものである。 今年度の研究は、(1)前年度に継続して、筆者がこれまで日本において行ってきた調査研究の発展と成果報告、および(2)韓国における実証調査の準備と展開の2点において成果をあげている。 (1)に関しては、近代以降の農村-都市移動者の中でも軍学校進学を契機とする「立身出世」型移動者に焦点を当て彼らの移動歴と家族観を分析した論文を寄稿するとともに、戦後大量の人口を都市に輩出してきた地方社会に目を転じて、戦後地方社会にとどまった人びとがどのような家族観のもとに地域社会を担ってきたのかに関して兵庫県篠山市の農業高校OBに対して行った生活史調査をもとに学会報告を行った。 (2)に関しては、前年度に引き続き韓国江原道東海市のフィールドワークを継続し、周辺農漁村部から人口を吸収し大都市圏へ送り出す結節点としての地方都市のあり方に着目し、商店主等を対象とした調査票調査を実施した。また一方で、日韓比較調査における比較調査地の整合性を視野に、釜山広域市および近隣地域のフィールドワークを行った。筆者のこれまでの日本における調査対象地(兵庫県但馬地方、丹波地方)は首都圏よりは京阪神地域に人口を輩出していることに鑑みて、釜山、大邱両広域市に人口を輩出してきた慶尚南道の小都市である密陽市を比較対象地として選定し、調査の準備を行った。
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Research Products
(2 results)