2008 Fiscal Year Annual Research Report
凝縮媒質に対する「拡張された熱力学」の構築とその衝撃波現象と熱電現象への応用
Project/Area Number |
08J08281
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 茂 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非平衡熱力学 / 拡張された熱力学 / 非線型現象 / 凝縮媒質 / 衝撃波現象 |
Research Abstract |
この研究は、従来の非平衡熱力学理論で採用されている「局所的熱平衡の仮定」の適用範囲を超えるような、時間的・空間的変化が急激な現象も解析できるように拡張された熱力学理論を確立するため、その適用範囲を液体・固体などの凝縮媒質まで広げようとするものである。平成20年度においては、以下の研究を行った。 ・凝縮媒質中での非平衡現象に関する理論的研究:典型的な強い非平衡現象である衝撃波現象に関して、理論的な解析を行った。媒質として、液体の良い基準モデルである、剛体球系を採用した。分子の持つ内部自由度を考慮に入れた解析を行い、内部自由度の数が,1.衝撃波が誘起する相転移,2.単一の衝撃波の安定性、にどのような影響を及ぼすかを明らかにした。これらの途中経過を学会で発表し、現在は論文として投稿準備中である。今後は、剛体球系に引力相互作用を加えた、より現実的な系に関しても解析を行う予定である。 ・数値的な解析:強い非平衡現象を数値解析する際には、境界条件がより重要になるので、気体分子運動論と分子動力学シミュレーションで用いられている二種類のMaxwell境界条件に関する以下の研究を行った。1.解析的な観点からの比較、2.より一般的な条件で用いることができる新しい境界条件の提案、3.2で提案した条件を一次元弾性質点系での定常熱伝導問題に応用した解析。これらの結果について、学会で発表し、論文にまとめた。また、計算機環境を整え、衝撃波の理論的研究で導かれた非線形方程式を数値計算するプログラムを作成し、理論が予測する衝撃波現象について詳細に調べた。 ・関連研究者との交流:学会、研究会に積極的に参加して議論を行うことで、研究に対する理解を深めることができた。また、さまざまな分野における最先端の結果に触れることで視野を広げることができた。
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