2009 Fiscal Year Annual Research Report
凝縮媒質に対する「拡張された熱力学」の構築とその衝撃波現象と熱電現象への応用
Project/Area Number |
08J08281
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 茂 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非平衡熱力学 / 拡張された熱力学 / 非線型現象 / 凝縮媒質 / 衝撃波現象 |
Research Abstract |
この研究は、従来の非平衡熱力学理論で採用されている「局所的熱平衡の仮定」の適用範囲を超えるような、時間的・空間的変化が急激な現象も解析できるように拡張された熱力学理論を確立するため、その適用範囲を液体・固体などの凝縮媒質まで広げようとするものである。平成21年度において、以下の研究を行った。 ・凝縮媒質中での非平衡現象に関する理論的研究:昨年度に引き続き、典型的な強い非平衡現象である衝撃波現象の解析を行った。昨年度からの継続となる剛体球系に加え、van der Waals系や、剛体球系に摂動として分子間引力相互作用を加えた系についても解析を行った。解析を行うにあたり、衝撃波通過前後の物理数の跳びが満たすべき適合条件、いわゆるランキンーユゴニオ関係式を導出した。この関係式を基礎にして、特に相転移を伴う単一衝撃波の安定性について、新しい結果を得ることができた。簡単なモデルから複雑なモデルへ段階的に解析を進めており、凝縮媒質中の衝撃波が持つ基本的な性質を系統的に理解できつつある。下で述べる数値解析も含め、結果を学会で発表し、三本の論文を投稿した。 ・数値的な解析:昨年度において基礎的なプログラムを作成していたので、理論的研究で導かれたランキンーユゴニオ関係式の数値計算をスムーズに行い、結果を蓄積することができた。さらに、解析の基礎方程式であるオイラー方程式系を数値積分するプログラムの作成も行い、理論予測の妥当性を確認するとともに、さらに詳細に解析した。単一衝撃波が不安定だと理論予測される場合には、衝撃波と希薄波が混在して伝播し、いわゆるShock Splittingが観察されることを発見した。 ・関連研究者との交流:四川大学の趙南蓉教授の研究室を訪問してセミナーを行い、最新の研究成果に関して意見交換をした。 四川大学に二週間滞在し、共同研究を進めることができた。また、学会、研究会にも積極的に参加して発表を行った。
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